それは「現状維持と変化」、この2つのとらえ方が若者と年長者では違うからだ。
まず政治、選挙とは何か?、端的に言えば「社会を変えたい者と変えたくない者の闘い」である。
これは時代、国関係なく、それが政治、選挙の本質だ。
「私一人が投票してもしなくても世の中は変わらない」(18歳選挙権に関する意識調査 報告書-総務省 平成28年12月)
若者が選挙に行かない理由の代表格である。
彼らの言う通り一票ごときで世の中は変わらない。
至極当然である。
一人の有権者の思い通りに社会が変わってしまったら大変だ。むしろそうならない為に選挙や議会が存在している。
何より「変化を起こす事」は「現状維持」より多大なエネルギーを要する。
引っ越し・転職・結婚・離婚。もちろん、法律の改正も例外ではない。
そういう意味では若者がそう感じるのも無理はない。
更に輪をかけ、若い内は自分も周りも「今のまま」でいられると思う傾向がある。
正確には「変わっていく事」がきちんと想像できない。私もかつてはそうだった。
一方、投票所に通う年長者は1票ごときで「世の中は変わる」と思っているのか?。
まさか白髪頭で「願いは必ず届く」とでも信じているのか?。
確かに「変化を起こす事」は「現状維持」より大変である。
しかし長期に渡るとそれが逆転する。
10年、20年まで先の話になると「変わる事」より「変わらないでいる事」の方が遥かに大変なのだ。
年長者はその事を自身の経験から学んでいる。
目に見える街並みから、目には見えない価値観や常識まで。多くが時代と共に絶えず変わり続けていく。
むしろ変わらないものの方が稀だ。
歳を重ねるとはそれを思い知らされていく事である、否応なしに。
無論「社会を変えたくない」側で投票する年長者も多い。
特に高齢者は年金・医療介護でそうだろう。
しかし社会が変わっていくからこそ投票するのだ。「今の福祉制度を変えたくない」と。
「投票しようがしまいが、どうせ世の中は何も変わらない」
ニヒルに棄権を決め込んでいる方にこれだけは断言しよう、その言い分は間違っている。
正しくは「あなたが投票しようがしまいが、世の中は絶えず変わっていく」のだ。
時代という激流に自身の主義主張を投げ込むべく選挙権を行使するのか、それとも激流の前で何もせずに只ぼさっと突っ立っているのか。
選挙に参加するか否かとはつまりそういう事だ。
「老人は暇だから投票に行く」と思ったら大間違いである。世の中の変化を見続け知っているのだ。
この一票が全くの無駄には決してならない事を。