動物愛護x選挙 ベッドでくつろぐ2匹の黒い猫
LennonとLeon ~私は動物愛「誤」を貫く~
ぶたのシルエット

「この豚野郎が」「あの雌豚め」、私は悪口にぶたを用いた者の人格を軽蔑する。
いのちに対する軽視、あるいは敬意の欠如をその一言に確信するからだ。

ぶたはとても高い知能をもつ生き物だ。
通常はチンパンジーの知能を計測する高度な実験(ゲーム)を、試しに犬とぶたに実施したところ、犬はまったくできなかったのだが、全てのぶたは簡単にこなしたと言う。
更にぶたはイルカや三歳児より頭が良いのではないかという研究者も多い。

オランダのワーゲニンゲン大学では豚房の壁面をスクリーンとし、その画面上を動くスポットに鼻を押し付けると花火画面が現れるビデオゲームを開発中との事だ。
豚房での彼らの退屈な時間に、少しでも刺激のある娯楽を提供しようというアニマルウェルフェアの一環ともいえる。
素晴らしい試みだと思う。

そんな彼らは「世のため、ヒトのため」ににとことん貢献している(させられている)。
食肉は誰もが知るところだが、ぶたと人間は組織学的に、あるいは生理学的に似ているところがたくさんある。中でも臓器の大きさが人間に似ているのだ。
実験動物としてはもちろん、若い外科医の手術手技のトレーニングにも使われている。
更には彼らが人間の臓器ドナーになる日も近いと言う。心臓移植が3年以内に実現の見込みだそうだ(2019年11月現在)。

そのような彼らを「豚野郎」だの「雌豚」だのと、悪口に用いる理由とセンスが本気で1ミリも理解できないのだ。
小学低学年の鼻たれ男子が言っている分には仕方がない。
しかし、「明らかにこいつ大人だろ」って輩が言ってる場合も多い。
中卒、肉体労働一筋の私が言うのもアレだが、そのような輩は顔まで含めてものすごくバカに見えるのだ。

John Lennon

John Lennon。額に入れ、我が家のリビングに飾ってあるモノクロのポスター。
そこに写る4人の成人男性の内の一人だ。

I Am The Walrus

「I Am The Walrus」、そんな彼が書いた1曲。
その中にこんな一節がある。


See how they run like pigs from a gun
ほら、あいつら銃口を向けられた豚みたいに走ってるぜ

See how they fly
あの情ない格好を見ろよ

I’m crying
まったく泣けてくるぜ

See how they smile like pigs in a sty
あいつらの笑い方 豚小屋の豚そっくりだ


この曲はその支離滅裂な歌詞ゆえ、ユーモラスな言葉遊び、はたまたドラッグソングとさえ言われている。
「ナンセンスな歌詞の一節にまで目くじらを立てるなよ!」、マトモなヒト達の声が聞こえてくる。

更に「The Continuing Story of Bungalow Bill」を書いたのも彼だ。
John Lennonが立候補したなら「この候補の動物愛護に関する情報が見つかりました」と当サイトに掲載したくなるような内容の曲だ。

Bungalow Bill

「じゃあ、いいじゃねえか」とも一瞬思うが、だがやはり、ぶたを用いた悪口は不快だ。
私は動物愛「誤」を貫く。

ドラッグだかLSDだか知らないが、私ならどんなに酒に酔おうが悪口に動物を用いない。
きっと殺し屋の彼も同じだろう。
もっとも彼が飲むのは酒ではなく牛乳だろうが・・・。

「LEON」1994年に公開されたJean Reno主演の映画だ。
公開当時、知り合ったばかりの連れ合いと劇場に観に行った思い出の映画でもある。

LEON

その「LEON」に22分の未使用シーンを追加収録した「LEON/完全版」が存在する。
その22分のシーンの中に主人公・レオンとヒロイン・マチルダのこんなやりとりがある。

Mathilda: I was more of a mother to him than thaat goddamn pig ever was!
マチルダ: 私は弟にとって母親以上だった。あの母親はうす汚い豚よ。

Leon: Hey, don't talk like that about pigs.
レオン: 豚を悪く言うのはよくない

追加シーンの中で、もっとも印象に残ったひとこまだ。

LEON2

もし、LennonがLeonに「I Am The Walrus」を披露したら、LeonはLennonを諭しただろうか?。
「Hey, don't sing like that about pigs.」と。

しかし1980年冬、「LEON」の公開を待たずに、銃口はぶたではなく彼に向けられた。

今は11月、もうすぐ12月がやってくる。
たまには何も考えずに、このろくでもない人類の幸福を祈るのも悪くはないだろう。

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