2020年11月8日投開票の東京都 荒川区長選挙について書いた事をコラムとして残しておきます。
↓以下、原文のまま掲載
現職の西川候補のことを調べると、やはり2008年の「荒川区 餌やり禁止条例」の話がザクザク出てきます。
無論、「地域猫活動」の行政での後押しとセットで考えなければならない事であり、単に「餌やり禁止条例」のみを取り上げ、この条例を批判するのもどうかとは思います。
しかし個人的に思うことは、罰則付きの「餌やり禁止条例」、このような条例が制定されれば、その内容のインパクト故にこの条例だけが独り歩きする事は十分に想定できる事です。
2020年の現在でさえ「地域猫活動」の一般市民への啓発・理解はまだまだ道半ばです。
にも拘わらず、今から12年前の2008年にこのような罰則付きの「餌やり禁止条例」は制定さました。
その時点では、一般的に「(地域猫とか関係なく)野良猫に餌をあげる事は問答無用でだめな事なんだ!」という、間違ったイメージを広めてしまうことは明らかだった筈です。
本来は地域猫活動の啓発とセットで行わなければ、単に「飼い主のいない猫を餓死させる」だけの条例になりまねません。
それでは、猫(「飼い主のいない猫」も含め)を「愛護動物」として定めている「動物の愛護及び管理に関する法律」との整合性にも問題が生じます。
やはり、荒川区が2008年の時点で罰則付きの「餌やり禁止条例」を制定したことにはフライング感が否めません。
地域猫活動の概念を普及させてからの順番でもよかったと思います。
そもそもは「きちんとルールを守って餌やりをしない人を取り締まるための罰則」の筈です。
だったら、順番で考えれば、その「正しい餌やりのルール」を、「ルールを守らない餌やりの人」と「それを迷惑に感じる人」にまで広めることが先でしょう。
2008年の時点で、その「正しい餌やりのルール」である地域猫活動の概念が、区民一般に十分に浸透していたのか?。
及び、区がその啓発に十分に取り組んでいたのか?は甚だ疑問です。
因みに、同じく罰則付きの「餌やり禁止条例」を制定した京都府京都市。
そこで、野良猫の餌やりに関する行政に寄せられた苦情は同条例の制定前である2014年度で765件、制定後の2017年度で715件です。
同じく荒川区では、制定前から現在にいたるまで同苦情が毎年150件程度で推移しているようです。
どちらの自治体でも制定前、後ともに「ほぼ横ばい」と言ってよいでしょう。
この条例が、環境省から各自治体へのお達しである「人と動物の共生する社会の実現」の為に必要不可欠であったのか?。その点には疑問が残ります。
この様な罰則付きの条例がなくとも、行政とボランティアさん達の努力によって、「人と動物の共生する社会の実現」へ着実に歩みを進めている自治体も多数あります。
一方で、一部のサイトでは2018年に西川太一郎現職候補が地域猫活動の啓発を推し進めているという好意的な情報もありました。
現在では地域猫活動と「餌やり禁止条例」が両立してきているということでしょうか?。
そうであることを願っています。
「夕焼けだんだん」でも近頃では外猫を見かけなくなったとの事です。
10年程前に連れ合いと「谷根千」を散歩した際にはそこいら中で外猫を見かけたものです。
2008年に「餌やり禁止条例」が制定されてから12年。
一代限りの地域猫活動が実を結んでいるならば、これ以上喜ばしいことはありません。
もう一方の候補である、「湯川 かずとし」候補には、当サイトが検索した限りでは、これといった動物愛護に関する情報はありませんでした。
有権者の方には総合的に判断していただければと思います。